平成の市町村大合併へ向けて活発な動きが出てきました。中央集権から地方分権への大きなうねりは、小泉内閣の構造改革と一体のものです。その主眼点は、官主導から民主導への動きと相まって自己決定・自己責任を原則とする社会の仕組みをつくっていくことです。
明治維新以来、近代国家として廃藩置県を起点として、日本は東京一極集中型の中央集権国家として発展してきました。東京に物や金を集め、それを地方に再配分して、全国的に一律のサービスを提供するやり方で国の運営を行ってきました。そして、あの第二次大戦後の荒廃からも見事に立ち直り、世界有数の経済国家と云われるまでになりました。
しかし、戦後50年余を経過して、日本全土に、過疎過密が生じ、国土の均衡ある開発の必要性が、国民の間につよく意識されるようになっています。国全体として豊かになったと云われますが、地方の市町村住民には豊かさの実感がなく、個人一人一人の生活の充実感が欧米先進国に比べ低いことが歴然としてきており、その格差是正は、これからの国家目標の一つになって来ています。
つまり日本は、国全体としての一応の豊かさの基準〈ナショナルミニマム〉は達成してきましたが、これからは、地方がその地域を生かして最適の条件をつくることが重要であると云われるようになりました。そのためには、先ず国の補助金や交付税を当てにして、国におんぶに抱っこの地方自治体の体質を変えていかねばなりませんし、一方、国も地方自治体に対し、箸の上げ下ろしまで関与するような、国と地方の主従的枠組みを根底から見直さなければなりません。
地方のことは地方が責任を持って対応できるような地方分権の必要性が叫ばれる所以です。その条件整備の第一歩として、分権の受け皿を強いものにするために、市町村合併の必要性は明確になってきているのです。
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