衆議院議員 山口第3区 河村たけおオフィシャルサイト
T's PARK > 活動報告

文字のサイズを変更できます→


活動報告

河村建夫氏語る議員立法にかける夢「宇宙基本法の成立」上
2008年7月25日付 科学新聞より転載

画像をクリックするとPDFにて閲覧いただけます。
※PDFファイルを見るにはアドビ社アクロバット・リーダー(無料)が必要となります。

宇宙を有効活用するために

宇宙を有効活用するために 日本の新たな宇宙利用を定めた「宇宙基本法」が、今年5月21日に国会で成立した。法案検討に着手してから3年半の歳月をかけてようやく成立まで漕ぎ着けたが、その検討の初めから今日まで、一貫してその中心で活動してきたのが、前文部科学大臣で自民党の河村建夫・衆議院議員(山口3区、党広報本部長・宇宙開発特別委員長)である。その河村氏が「宇宙基本法」の成立に至までの道のりや、成立の意義・背景、法律の概要、そして同基本法の下での宇宙政策展開、これからの日本の宇宙開発利用などについて、都内のホテルで講演し、同法成立にかけた思いを語った。本誌ではその講演要旨を3週にわたって連載する。

日本の法律の制定においては、議員立法と呼ぶ議員提出法案と、内閣提出法案(閣法)の二つの手法がある。議員立法は、どちらの議員から提出されたかによって衆法と参法と呼ばれる。日本は議院内閣制なので従来は閣法が立法の中心であり、成立した法律のうち85%が閣法であった。

閣法の作成は、その法律を担当する省庁がまず原案を作るところから始まる。官僚が法案を作成するため、省益と呼ぶその省庁に都合のよい内容になる傾向は否めない。作成途中で省庁や与党のチェックがあるとはいえ、事務次官等会議が全員一致了承を原則としており、調整に非常に手間がかかる。

そのため宇宙のように関連省庁が多い場合は、閣法での法律成立はまず望めないので、政治主導で進めるべく議員立法をスタートさせたのである。

検討のきっかけは、2003年9月に文科大臣を拝命した際、最初に文科事務次官から受けた情報収集衛星初上げのレクチャーであった。これは日本が保有する偵察衛星だが、当時は「なぜ文科大臣が日本の安全保障上重要な情報収集衛星について責任をもつのか」という疑問もあった。

それから2ヶ月後の11月に、H2Aロケット6号機が情報収集衛星2基を積んで種子島から打ち上げられた。文科大臣として初めての大仕事で、私は種子島に出向いて打ち上げを見守ったが、打ち上げ数分後に地上から爆破指令が出され、2基ともロケットから切り離されることなく、宇宙の塵となってしまった。

東京に戻り、打ち上げ失敗の責任をどうとるのか、情報収集衛星の担当大臣である福田官房長官(現・総理大臣)と沙汰を待ったが、小泉総理は「いちいちそんなことで大臣が責任をとって辞めていたら、大臣は何人いても足りない」と言われてクビにならなかった。

その後、当時の福田官房長官と日本の宇宙政策における司令塔がないという問題意識を確認し、2004年11月に文科大臣を退任したのを機に宇宙政策の見直しに着手した。こうして、実に法案の検討着手から3年半もの歳月を要して、今年5月21日に法案成立まで漕ぎ着けたわけである。

では、成立した宇宙基本法にどのような意義があるのかについて話したい。

宇宙を有効活用するために まず、我々の生活において宇宙の開発利用が非常に重要になってきているので、これを国家戦略として位置づける必要があったということである。従来の日本の宇宙開発では、世界最先端の科学技術の追求に重点が置かれ、その結果十分に宇宙を活用できなかったので、これからは宇宙を有効活用する政策に軌道修正させなくてはならない。

それから、官僚による省益重視の縦割り行政ではなく、民意を負託している我々政治家が主導して、国民生活や経済発展のための宇宙政策に転換するということである。そのために議員立法で法律を制定させ、宇宙開発戦略本部で、国家戦略にかなう宇宙政策を推進していくことである。

今国会は衆参ねじれ現象で国会運営も厳しかったが、その中にあって、野党の民主党とも手を携え大局的視点で政策調整を行い、与野党合意のもとに宇宙基本法は成立したもので、そこにも大きな意義があったと思っている。この関係は法案制定までというだけではなく、その後もフォローアップ議員協議会の形で継続させており、引き続き政策協議を行っている。

では、なぜ宇宙基本法をつくる必要があったのか。それは日本の宇宙開発がたどってきた生い立ちと関係がある。すなわち後発国として研究開発中心の「キャッチアップ戦略」を採ったことにより、衛生もロケットも大型で最先端の技術開発レベルのものを追求してきたこと、「平和利用原則」であったがためにミサイル技術転用への懸念に過敏であったこと、宇宙開発に関連するアクターが固定化してしまい「宇宙村」と揶揄されるコミュニティに留まってしまったこと等があげられる。このような体制・考え方では様々な環境変化に対応できなくなり、時代変化に適うものに転換する必要が生じてきた。

多少専門的だが、これまで日本の宇宙開発が置かれていた問題点をあげておきたい。一つには、宇宙の平和利用の解釈がある。欧米が軍事利用を先行させていた中で、日本は平和憲法の下、国会議決によって平和の解釈を非軍事に限定するとしてきた。

二つ目は、自衛隊の衛星利用における一般化理論というものである。非軍事なので自衛隊は宇宙を利用できなかったが、米軍と衛星通信を行う必要性が出てきて、当時すでに普及していた衛星通信については、偵察や攻撃などの軍事目的ではない一般的利用を可能にすることにした。

三つ目は、日米衛星調達合意である。日米摩擦で米国が日本政府の調達について市場開放を求め、通信・放送や気象のような実利用の衛星の調達は国際入札となり、ほとんどが米国製になってしまい、政府が行う宇宙開発は実質、科学技術分野の研究開発のものに限定され、日本の宇宙産業の成長と実利用分野の発展を阻害してきたのである。

以上のような問題意識から、2年前の自民党内の審議において、平和利用の解釈の再定義と宇宙政策のあるべき姿を実現するためには、宇宙基本法の制定が必要であろうという結論を得たわけである。

<次週につづく>


←戻る