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活動報告

宇宙基本法の意義
〜日本経団連 月刊誌「経済トレンド」より〜

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宇宙基本法案(以下、本法案)は、与党公明党の合意を得て、昨年の通常国会中の六月二十日、私も法案提出者として公明党議員とともに議員立法として衆議院事務総長に提出した。本法案は、すぐに衆議院内閣委員会に付託(法案が所管委員会の扱いになること)されたが、通常国会では審議する時間が足りず、継続審議扱いとなり、現在も審議待ちとなっている。

本法案の提出理由

本法案は、人工衛星を利用したGPSや放送サービス、災害監視、資源探査等が実用化され、宇宙用に開発された技術、素材等がさまざまな分野に活用されるなど、宇宙開発が「利用」も含むことを明確に定義し(一条)、われわれの身近な生活においても重要な役割を果たすようになったことや、また、BMD(弾道ミサイル防衛)をはじめとするわが国を巡る安全保障環境の変化や、中国やインドをはじめとする諸外国における積極的な宇宙開発の推進などの国際情勢の変化もあり、宇宙開発の重要性が、さらに増大していくことが予想されていることに鑑み、議員立法としてまとめた。

また、わが国の宇宙開発が、これまでも、研究開発を中心として着実に成果を上げてきているものの、研究開発に限定されたものであり、わが国において宇宙開発の果たす役割を拡大するため、宇宙開発を国家戦略として位置づけ、これを総合的かつ計画的に推進し、国民生活の向上および経済社会の発展に寄与するとともに、世界の平和および人類の福祉の向上に貢献し、国際社会における名誉ある地位の確立を図ろうとするのである。

本法案は、わが国における宇宙開発に関する基本法となるものであり、具体的には、
1. 宇宙開発に関する基本理念
2. 宇宙開発に関する国の責務等
3. 宇宙基本計画の作成
4. 宇宙開発の司令塔となる宇宙開発戦略本部の設置
5. 宇宙活動に関する法制の整備等について定めている。

宇宙の平和的利用

いわゆる「平和利用決議」とは、昭和四十四(一九六九)年の衆議院における「わが国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議」である。この決議では宇宙の開発および利用を「平和の目的に限り」行うこととしており、この「平和の目的に限り」の解釈は、決議案の提案者の発言や当時の科学技術庁長官の答弁により「非軍事」とされてきた。本法案では、宇宙開発を「我が国の安全保障に資するよう行う」(三条)ものと位置付けており、防衛目的での利用は当然行えるというのが本法案の提案者の趣旨であり、これまでの解釈とは異なるが、本法案が成立すれば、国会の新たな意思が示されたことになり、従前の解釈は変更されたことになるものと考える。

強力な司令塔が不可欠

近年、「基本法」と名の付く法律が次々と成立している。これら多くの基本法は宇宙基本法と同様、内閣に本部を置き、府省横断的な国家戦略を構築することを求めている。

本法案は宇宙政策全体の基本法となるため、その成立過程において、官僚機構に依存することなく、私が座長となり各関係府省の副大臣、副長官、政務官クラスの国会議員と有識者による私的勉強会「国家戦略立案懇話会」を通じて法案の基礎となるアイディアが醸成され、自民党宇宙開発促進特命委員会での議論を基に条文が作成されており、その後必要に応じ各府省との調整はありつつも、あくまでも議員主導で行ってきた。また、本法案成立後も、基本計画の内容など、自民党内政務調査会に常設されている宇宙開発特別委員会が引き続き、内閣官房に創設される宇宙開発戦略本部に対して、政治的なコミットメントをし、政治家による官僚機構の監視メカニズムも備えている。

こうした政治的コミットメントによって提出された基本法案は、これからのわが国における宇宙開発の政治的重要性、戦略的重要性を改めて強く印象づけるものであると考えている。

宇宙産業の振興とアンカーテナンシー

本法案に明記した「宇宙産業」(四条)は、宇宙開発に関する産業を広く指すものであり、直接ロケットや衛星の製造を行う産業から、その部品、素材等を製造する産業、衛星等を利用してサービスを提供する産業、さらにはそれらのユーザーとなる産業等が考えられる。ユーザーとなる産業としては、GPSを使用した携帯電話産業や漁業等も存在し、大きな裾野の広がりを持っており、宇宙開発の推進や企業化を通じて宇宙産業を含めたわが国産業全体の技術力および国際競争力の強化を目指すものである。実は今までのわが国の法律には「宇宙産業」という言葉は存在していなかった。本法案で初めて宇宙産業は法的な位置付けをもったことになる。

また、「民間事業者の能力を活用し、物品及び役務の調達を計画的に行なうよう配慮する」(一六条)とし、これからの宇宙開発ではPFI、PPPなどを活用することも考えていくことを前提に、宇宙開発は、研究開発や設備投資などに多額な費用が必要であり、また実用化までに長い期間がかかること等から、民間が負う多大なリスクに配慮する必要がある。このため、公明党からの強い要望もあり、いわゆる「アンカーテナンシー(多大なリスクを負う宇宙開発事業の安定的な利用者として、政府が、民間の商業的に利用可能なサービスを調達する努力をすべきという考え方)」を法案に明記した。国は宇宙開発を行う際には、民間企業が投資等を行うに際し、将来の需要等を見込んで判断できるよう配慮すべきであり、具体的には、国が実施する宇宙開発の長期的な計画を策定し、それを明らかにすること等が考えられる。

外交戦略としての宇宙開発利用

「我が国の国際社会における役割を積極的に果たすとともに、国際社会における我が国の利益の増進に資するよう行われなければならない」(六条)という本法案の表現は、実は外務省設置法第三条の任務規定を参考にしている。宇宙開発は、これを行っている国が多くはないこともあり、惑星探査の成果や災害監視情報の提供などを通じ、わが国として効果的な国際協力、国際貢献が可能な分野であり、まさにわが国の外交戦略としても活用を図ることを目的としている。中国をはじめとする諸外国において積極的に宇宙開発が推進され、宇宙開発が外交ツールとして活用されるなど、宇宙開発の重要性がますます増してきている中、わが国としても、宇宙開発を積極的に外交面でも活用し、わが国の国益に資するような宇宙開発を行っていくべきであり、本条はその趣旨を示したものである。

宇宙政策は民主党との協働で

現在、テロ特措法を巡る問題で安全保障を巡る政策については、政策論議が表立ってできない状態にある。しかし、インド洋における自衛隊の給油活動が国連の議決を得ているかどうかが議論の争点であるとすれば、本法案はあくまで国連軍縮会議の中で締結された宇宙条約の平和利用の定義に沿うものであり、近いうちに本法案について突っ込んだ議論ができると考えている。民主党議員の中でも、国益に資する観点で宇宙政策への関心が非常に高まり、理解が進んでいると聞いており、二〇〇八年の通常国会の早いタイミングで民主党の考えをよく反映した形で本法案を最終的にまとめていく所存である。

※日本経団連 月刊誌「経済トレンド」


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