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活動報告

予算委員会で総理への質問にたつ(2月9日)

議事録全文


河村(建)委員

自由民主党の河村建夫でございます。
委員長の御指名によりまして、丹羽議員の持ち時間の中で一時間いただきまして、質疑に入らせていただきたいと思います。
NHKの朝のラジオ、テレビじゃなくてラジオなんですが、早朝に「きょうは何の日」という番組があります。お聞きになった方もたくさんいらっしゃると思いますが、「きょうは何の日」、実は、もう皆さんお忘れになっている方も多いと思いますが、ハワイ・ホノルル沖でえひめ丸がアメリカの原子力潜水艦と衝突をして、乗組員を入れて九名のとうとい犠牲が出た日でございます。四名の水産高校生、亡くなりました、練習船。きょうは七回忌がホノルルでも行われると伺っておりまして、私も心から哀悼の意を表するとともに、やはり政治たるもの、あの人たちのあの当時の痛みというものをしっかり受けとめておかなきゃいかぬ、こういう思いがいたすわけであります。
たしか、安倍総理はあのとき官房副長官でいらしたかと思います。私は文部科学副大臣でございまして、水産練習船ですから、これはやはり教育現場の事件だ、こういう話もございまして、宇和島に飛んでいったことも覚えております。また、外務省もこの問題を重視して、当時の政務官、ハワイへ飛んでいかれるというようなこともございました。アメリカ側もこれにはきちっとした対応をしてくれたと思っておりますが、心から哀悼の意を表したい、こう思っております。
また、きょうは、私は教育問題を中心にということでございますが、その前にもう一つ、総理が、まさに心の痛みといいますか、それを受けとめた、とうとい決断をされたことについて、さきにも予算委員会でも取り上げられておりますが、改めて国民の前にそのことについてお披瀝をいただきたいと思っております。
それは、中国残留邦人の問題でございます。たしか一月中旬ごろ、この問題を、プロジェクトチームで座長をなさっております野田毅先生から、私が今党の政調会長代理という立場にございますものですから、PTとしても、この問題について、まさに戦後レジームの、体制の中で処理しなきゃいけない大事な問題である、党としても、中川政調会長とともに一つの方向づけをしてもらいたいんだ、こういうお話でございました。
実は、一月三十日に東京地裁の判決があり、国側の勝訴となりました。あのときの残留邦人の皆さんの落胆ぶりというのは目に余るものがあったのでありますが、これを受けて、総理は、この裁判の結果いかんにかかわらず、やはり同じ日本人として、戦後ここまで来てこのような思いを抱かれておることについては、裁判の結果いかんを問わず、政治が決断をしなきゃいかぬということで、この問題について適切な処理をするように厚労大臣に指示をされた。
残留邦人の皆さんは、まさに地獄から天国へ、こういう思いをされたと伺っておりますが、その決断をされたそのときの総理の気持ちというものを改めてお聞かせいただきたい、こう思います。
〔杉浦委員長代理退席、委員長着席〕

安倍内閣総理大臣

先般、残留孤児の皆様とお目にかかりました。そのときに、孤児の皆様は、何とか自分たちの国、祖国日本に帰りたい、それが本当に長年の夢であった、しかし、その夢がかなったけれども、生活の習慣の違いあるいは言葉の壁でなかなか生活がうまくいかない、いろいろな困難があった、そして、その中で、だんだん年を重ねてこられている中で、自分はせっかく日本に帰ったのに、自分の夢、期待は裏切られたような気持ちだということをおっしゃっておられました。
確かに、言葉を初めとして、いろいろな困難な点があったんだろうと思いますし、だんだん年をとられてきた、そして、何といっても、戦争の中で子供たちが取り残されてしまった、そういう悲劇があったわけでございます。
そこで、私たちとしては、法律の問題や裁判の結果とは別に、この皆様方に対してきめ細かな支援、誠意ある対応をしなければならない、こう判断をいたしたところでございます。この方々が、孤児の皆様が、日本に帰ってよかったな、やはり日本というのは温かい国だ、祖国は温かい、このように思っていただけるような対応を、そして、日本人として尊厳を持って生活をしていける対応、支援をまた与党とよく協議をしながら決定していきたい、考えていきたい、このように考えております。

河村(建)委員

ありがとうございました。
もう柳澤大臣にお聞きはいたしませんが、ぜひ総理のこの気持ちを体して、この問題について真正面からしっかり取り組んでいただくようにお願いをいたしたいと思います。
と同時に、これを前例としてという意味ではございませんが、原爆症の認定問題あるいはカネミ油症問題等々、苦しんでおられる皆さんの心の痛みを受けとめなきゃいけない政治課題も後にあるということもこの際申し上げ、また決断をいただきたい、こう思っておることを申し添えさせていただきます。
さて、それでは、いよいよ教育問題に入りたいと思いますが、今国会を、安倍総理は教育再生国会であると位置づけられました。私は、大変大きな位置づけだ、こう思っております。「美しい国、日本」をこれからつくっていくんだ、新しい国といいますか、いわゆる国づくりに入るにはやはりその根本は人である、国づくりは人づくり、こう言われております。まさに国家百年の大計に真正面から取り組もうとされておる、この思いに、私も高くこれを評価すると同時に、政権与党自民党としても、しっかり協力し、これを成就していかなきゃいかぬ、こういう強い決意でおるところでございます。
米百俵の精神でということで、小泉内閣も教育の重要性は述べてきたところでありますけれども、ややもすると教育問題が、いわゆる経済財政諮問会議であるとかあるいは規制改革会議であるとか、こういうところでどうしても教育議論をするような状況もございまして、本格的に内閣においてこの教育問題を述べるその必要を、私も当時、小泉内閣の文部科学大臣として感じておったわけでございまして、今回、安倍総理においては、この教育再生会議というものを閣内に、いわゆるまさに閣議決定をもって設置をされて本格的にこの問題に取り組まれんとしているということ、このことに私は心から敬意を表する次第でございまして、真正面からこの問題にまさにしっかり取り組んでいかなきゃいかぬ、こう思っておるところでございます。
この教育再生会議というのは、昨年の十月十日に実は設置をされておりまして、一月二十四日に第一次報告書をいただきました。
また、御案内のように、昨年十二月十五日に、安倍総理の強い教育改革、教育再生にかける熱意と、また伊吹大臣のリーダーシップのよろしきを得て、この改正教育基本法が成立をいたしまして、既に昨年十二月二十二日にこれは公布、施行されておるわけでございまして、まさに今の、これからの教育は、改正教育基本法、また新しいこの教育基本法のもとで教育が行われていくわけでございます。
そういうことを考えますと、今回のこの教育再生会議というものは、並行的にスタートいたしておりますが、まさに教育基本法改正の理念といいますか、これを踏まえながら、そしてその具体的な、あるいはこれからの国家百年の大計に当たる方針を第一次報告書は示してきておる、このように思うわけでございます。
そういう理念のもとで行われているということを、まさに教育再生会議設置のねらいとともに、この教育基本法、これを手元に置きながら、この理念のもとでまさにこれを進めていかれようとしているんだということについて、改めて総理に御確認を申し上げたいと思います。

安倍内閣総理大臣

大変長い間、河村先生は教育問題に熱心に取り組んでこられました。河村先生の熱心な取り組みもございまして、与党において教育基本法の改正案の取りまとめができて、そして昨年の臨時国会で、まさに五十八年ぶりに教育基本法が改正されたわけでございます。新しい時代にふさわしい理念を盛り込むことができた、このように思います。
この改正された新しい教育基本法の上に立って我々は教育再生を実現させていかなければならない、このように考えているわけでありまして、まさにこの教育基本法の改正ができたからこそ教育再生がさらに進んでいくことになると思います。
この教育基本法の改正を基本として、また前提として、我々は、教育再生会議について、あるべき教育の姿について議論をしたところでございます。その中におきまして、学校を再生して、安心して学べる規律ある教室にする、あるいは、あらゆる手だてを総動員して、魅力的で尊敬できる先生を育てていく、やはり教育というのは人材、人である、このように思うわけでありますが、そしてまた、社会総がかりで子供の教育に当たる、そうした提言を盛り込んだ第一次報告ができたわけでありますが、まさにこうした報告は、新しい教育基本法を前提、基盤としたものである、このように思います。

河村(建)委員

総理のこの強い教育再生にかける思いというもの、これによって、この再生会議、そして再生会議の第一次報告、極めてスピード感を持ってここまで来ておるわけでございます。
ただ、この教育再生会議に対する評価といいますか、いろいろな議論もあるわけでございますが、教育現場においては、中央教育審議会との関係はどうなるんだろうというようなことも聞こえてきておりまして、まだまだ教育再生会議に対する期待感というのがもう一つ今盛り上がっていない嫌いもございます。
これについて一、二伺っておきたいと思うのでございますが、中央教育審議会が文部科学大臣の諮問機関としてあるわけでございまして、これが、新しい、今度は会長は山崎先生におかわりになりました、山崎会長のもとで、これから法案についていろいろ議論をされる。
再生会議の第一次報告は、今総理言われたように、まさに社会総ぐるみで、総がかりで教育再生をやっていこうという熱い思いの中で、当面の緊急課題としてこの法案を早急に出したい、こういう意向が示されておりますので、これは伊吹大臣も、中央教育審議会でしっかり議論をして、そして法案成立を期したい、こう言われてきておるものでございます。
この国会でということになりますと、時間的な問題もかなりありまして、かなりスピードアップしなきゃならぬと思いますが、その点、この中央教育審議会での議論、この準備。教員免許法の改正問題等は、これはもう随分前から言われてきておることでありますし、中教審、既に答申を出しておりますから、こういう問題はすぐにやれると思うのでありますが、後ほど触れたいと思いますが、教育委員会の問題等々、かなり濃密な議論も必要だろう、こう思っております。
この点を踏まえて、大丈夫か、こういう思いで伊吹大臣にちょっとお聞きしたいと思います。

伊吹国務大臣

教育問題については我が党の大専門家の河村委員でございますので、私がちょうちょう申し上げることもありませんが、少し整理をしておきたいのは、まず、教育再生会議というのは、政治的には非常に重い。つまり、安倍総裁が、自民党総裁に立候補されたときに教育の再生というのは最優先の課題として掲げて、そして、御自分の内閣でぜひ、教育基本法の改正を受け、今先生が御議論になったように、教育を再生させたい、そのために閣議決定をしてつくったアドバイザリーボードですから、これは政治的に大変重いものだと私は思っております。そして、事実、ここでいろいろ御議論いただいていることは、的を射たことが私は非常に多いと思います。
しかし、再生会議がおっしゃったからやるのではないんです。再生会議は安倍総理に対するあくまでアドバイザリーボードであって、行政権を持っている内閣の長として安倍総理が決断をされたから我々はやるわけなんです。
その中で、四つのことを安倍総理は私にお話しになりました。
一つは、荒れている学校現場ですね、いじめの問題あるいは校内暴力の問題について、現行法制の中でできることを学校の先生方あるいは教育委員会について自信を持ってやってもらうようにしてもらいたい。これは既に、御承知のように、御指示があって十日以内に通知を出しました。
そして、改正教育基本法を受けて、これを実現するためには十本程度の法律を改正しなければなりませんが、当面、先生がおっしゃったように、学校教育法と地教行法、それから教員の免許の法案、この三つは、おのおのもう既に中教審に答申を求めてあるわけです。しかし、その後状況が若干変わっておりますので、それを含めて、スピード感を持ってぜひ御答申をちょうだいしたい、補足的な御答申をちょうだいしたいということを先般お願いいたしました。
中教審はあくまで国家行政組織法と文部科学省設置法に基づく法定機関であって、法律を出すときはここを通さねばなりませんから、先生がおっしゃったように、国会の御議論の時間をとらねばなりませんので、大変急ぐことになるわけですが、濃密に、スピード感を持って、ぜひ補足的なお考えをちょうだいしたいということをこの前お願いしてございますので、できるだけ国会の議論に早く付して、国民の総意をもって御議論をしていただきながら教育再生に取り組みたい、そう思っております。

河村(建)委員

自由民主党、我が党の方も、教育再生に係る特命委員会も用意をいたしておりまして、第一次報告をいただいたものについて、この問題をやっておりますし、また、公明党との与党協議会におきましても相当濃密な議論を進めながら、この国民的課題に取り組まんといたしておるところでございます。
この教育再生会議は、社会総ぐるみでやろうということ、こういう方針というのは、私は非常に大事だと思います。教育再生会議と中央教育審議会とが同じことをやっておったのでは、これはまさに時間の無駄になるわけでございまして、今回、総理の強い決断で、社会総ぐるみでやろうということでありますから、私は、学校が直接扱わなきゃいけないような課題については、これはしっかり中教審で話し合いを進めてもらいたい。
特に私は再生会議に望むのは、これは文部科学省一省ではなかなか対応できないような問題が教育界にはございます。まさに、マスコミの有害報道とかそういうようなもの、あるいは、今まさにネット時代、こういうものからどうして子供を守っていくかというような大きな課題がございます。あるいは産業界の教育への協力、これは子育ても含めて、そういうものがございます。そうした、一省では対応できないような大きな課題、まさによく言われる骨太の方針といいますか、そういう議論をしっかりしていただかなきゃなりませんし、また、国家財政投資は、教育はいかにあるべきか、こういう議論も当然そこでやっていただく。
あるいは、まさに次の課題でありますが、ゆとり教育の見直しによって高い学力、こうありますが、その学力観というものは一体どういうものなのか、こういう議論をしっかりしていただくこと、そして最終的な報告をまとめていただくことが教育再生会議に期待をされている、このように思っておりますので、ぜひ、この中には総理みずからお入りになって、また伊吹大臣もお入りになっている、こういう教育に関する会議というのは、私の知る限り、まさに国を挙げての体制ができた、まさに明治以来の体制だ、こう思っておりますので、我々もしっかり協力をいたしますが、ぜひ成果を上げてもらいたい、このように思っておるわけであります。
特に、今回非常に話題にもなりましたが、ゆとり教育を見直して学力を向上するということが、今回の第一次報告の第一点に挙がっておるわけでございます。
このゆとりという言葉、これがどういうときに使われ始めたかということでございますが、皆さんの資料にも参考までに出させていただきましたが、昭和五十一年の教育課程審議会で、ゆとりのある、しかも充実した学校生活を目指してと、ここからスタートをいたしておりまして、ゆとりを持ちながら充実した学校をつくっていこうというところからスタートをいたしておるわけでありますから、その方向は間違っていないと私は思うのであります。
五十一年十二月の、一つは読売新聞の社説がここにございますが、皆さんのお手元にございますが、ちょっと読み上げますと、「今回の教育課程の改定は、詰めこみ教育の是正を最大の目標にして進められ、結果として、総授業時数では約一割、教育内容では二―三割の削減となった。これまでの教育課程が、改定のたびに教える内容が増加し、質的にも高度になってきたことを審議会が厳しく反省し、学ぶ立場に立って検討を加えたことは評価したいと思う。」これも朝毎読、どの社説も同じ方向でありまして、当時の有識者は、これはいい方向だと賛同したわけでございます。
しかし、現実には、詰め込み教育ということになると、基礎、基本をやらなきゃいけないことがまさにおろそかになった、そういうこともまた詰め込みだ、こういう意識が働いて、実際の基礎教育はおろそかにされたのではないか。現実に、大学では分数計算がよくわからない大学生も出始めたという指摘がございます。そのようなことにどう対応するかということでありますから、今回の提言で、一割時間数を戻そうではないかという議論が出た、これは当然だと私も思います。
ただ、メッセージとしては、当時問題にされたあの詰め込み教育時代といいますか、そういうことに戻すのではなくて、この欠点を補いながら、まさに教育はこれからは人間力をつくっていくという大きな課題に向かっていかなきゃなりません、まさに人格の完成というのが教育基本法の最大の中心概念でありますから、それにはやはりこうしたゆとりのある、しかも充実した学校生活を目指していく、これであるべきだ、私はそう思っております。
ゆとり教育を見直し、学力をつけよう、こういうふうな第一次答申を出されたことについて、このゆとり教育という問題について、総理、これはいかにお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣

ただいま委員が御指摘をされました詰め込み、そしてゆとり。ゆとりというのは、これはだれもが、ゆとりを持った方がいい、こう思うのは当然のことだろうと思いますね。一方、詰め込みという言葉になると、詰め込みはまずいだろう、しかし他方、基礎的な学力を学んでいくのだといえば、それは当然だな、こう思う。では、どこまでが詰め込みでどこまでが基礎的なものかという判断も当然これは大切になるんだろう、このように思います。
そもそものゆとり教育についての理念、考え方は私は間違っていなかった、これは再三私も申し上げているわけであります。それは、基礎的な、基本的な知識を身につけた上で、それを活用して考える力をはぐくんでいこう、そのためにはいわゆるゆとり教育が必要であろうという理念であったわけであって、この考え方は間違っていなかったわけでありますが、しかし、理念が正しくても、結果として、なかなかうまく現実の問題としてその方向に行かないということは、これはたまに起こり得るわけであります。ですから、我々が目指すべき方向、そのための政策と結果がどうなっているかということは絶えず検証していく必要があるのだろう、このように思うわけであります。
この考え方、理念としては間違っていなかったわけでありますが、現状を見ますと、子供の主体性などを重視する余り、必要かつ適切な指導が実施をされていなかったり、あるいは読解力の低下や学習意欲、学習習慣が必ずしも十分ではないなど、理念が十分達成できていない状況が見られるわけでございます。
そうした現状を見た上で、現行の学習指導要領の理念を実現し、すべての子供に必要な学力を身につけさせるための具体的な方法が必要である、このように考えます。その観点から、子供たちや学校現場の状況をしっかりと把握して、これまでの経緯を検証しながら学習指導要領の見直しを進めていくことが重要であると考えています。

河村(建)委員

ありがとうございます。ぜひ、ゆとり教育の理念といいますか、これが誤った方向に行かないように、この是正というのは必要だと思います。
ややもすると、マスコミは何か、ゆとり擁護派とゆとり反対派があって、論争が行われているようなイメージが起きておりますが、決してそういうことではないわけでありまして、よく例に出されますフィンランドの例。私も、昨年、一昨年と教育改革の問題で欧米へ参りました。特にフィンランドにも行ってまいりましたが、ここは世界一の学力上位国である、こう言われておるわけであります。
私もフィンランドの授業そのものを見てまいりましたが、まさにフィンランドの授業は我々が考えているゆとり教育そのものであると言っていい、物をみずから考えさせる授業をやっております。今、総合学習の時間というのがございますが、あらゆる授業がその体制をとっていて、みずから考え、みずから発信をする。ある国語の授業では、小説、物語を読ませて、そしてそれぞれ主人公になったつもりで、自分だったらどうするかを言え、このような教育をやっておりましたが、フィンランドは既に先生の質を上げることに大変力を入れております。いわゆる教職というのは、社会的地位が非常に高い、尊敬される職業であるということ。しかし、そのかわりに、義務教育の先生は今大学院修士課程修了を義務づけておりまして、相当力を入れている。特に、落ちこぼれをつくらないという言葉は余りいい表現ではありませんが、成績下位に対する熱いマンツーマンの授業が行われております、習熟度別、こう日本では言っておりますが。
日本の学力低下という問題が、あのPISAのいわゆる学習到達度調査、OECDの四十カ国をやります、あの中で、読解力が八位から十四位に落ちたということが非常に大きく喧伝をされたし、事実にそういう結果が出た。まさにみずから考え、みずから発信する、生き抜く力といいますか、そういうものが不足しているのではないかという指摘、そういうものは、やはりそうした総合学習的な、みずから体験をしながら、みずから考えるようなものでないと生まれてこないということははっきりしております。
と同時に、その中身を見ますと、特に日本では、上位層といいますか、上位五%、この層はほとんど変わらない、落ちていない。しかし、真ん中から下、下位層といいますか、ここの落ち込みが激しいという結果も出ておりますので、こうした学力の二分化といいますか、あるいは学習意欲の二分化というものに十分配慮しなきゃいけないときを迎えております。このことを考えながら、これからの学力向上というのを図っていかなきゃならぬ。
そうすると、どうしても、これは先生の質をいかに上げるかという問題も出てまいりますし、財政再建のときでもあるので、教育にもという話がございますけれども、やはりマンツーマン、習熟度別をやろうとしたら、教師の質も高めると同時に教師の数もふやしていく、こうした問題も当然課題になってくるであろう、こう思っておるわけでございまして、こういう視点に立ってこれからの教育への支援策をとっていかなきゃならぬ、こう思いますが、総理、いかがお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣

フィンランドの例、これは本当によく我々も研究をしてみなければならない、こう思っています。
確かにフィンランドは、いわば授業時間数についてそれほど多くないにもかかわらず、成果を出している。確かに、先生がおっしゃったように、なぜかといえば、先生の質が極めて高い。やはり教育は人なんだなということを改めて感じたような次第でありますが、そして、それと同時に、ただあらわれてきている授業時間数だけではなくて、理解に時間がかかる子供たちに対しては徹底して、時間外も含めて、また休日等々も含めてそれは特別に教育をする、その人たちに合わせて教育をしていくということに取り組んでいることもありますし、さらには、これはもうみんなで子供を教育していこう、隣近所で子供たちを教えていこうという機運が非常に強い。そして、子供たち同士でも、もしおくれている子がいればみんなで協力して助けていこうという機運が強いという話も聞いたような次第でございまして、そういう意味では、社会総がかりで教育を向上させていこうという気持ちが大切であるということを改めて再認識したような次第でございます。
また、確かに、今御指摘のように、成績下位層が増加をしているとの課題があるわけでありまして、今後は、伸びる子は伸ばし、理解に時間のかかる子には丁寧に、きめ細かな指導を行うことが必要でありまして、習熟度別指導の一層の充実を図ることも大切であり、また、本年四月にスタートする全国の学力・学習状況調査を継続的に行い、教育施策や授業の改善を促していきたいと思っております。また、来年度予算に盛り込んだ放課後子どもプランを通じまして、放課後や土曜日を活用した学習機会の充実も図っていきたいと思っております。
さらには、繰り返しになりますが、やはり先生がいかに重要か、先生の質が重要かということでありますし、また、この習熟度等、きめ細かな対応を行っていくためにも、先生の質の向上を図っていくことが大切であります。そしてまた、頑張っている、一生懸命いろいろな工夫をして取り組んでいる先生に対しての支援を当然我々も考えていかなければならないと思います。

河村(建)委員

総理みずからがまさにこの教育の重要性を具体的に語っていただいたということ、これは教育現場にとっても私は大きな刺激になると思います。
いよいよ学力調査も行われるわけでございまして、たしか四月二十四日だったと思います、その結果も出る。これがなかなかできなかったというのは、やはり教育現場も反省をしてもらわなきゃいけない点がある。この結果というのは、確かに、これを比較して、ただしりをたたくだけではよくないと思いますが、この結果を受けとめて、何をどういうふうにしていけばいいかということをしっかり考えてもらわなきゃいかぬ。その先にはやはり評価という問題が当然入ってくるわけです。これは避けてはならない、こう私も思っておるわけでございまして、これに真正面から教師の皆さんも向かい合ってもらわなきゃならぬ。そのことによって、私は、教育が変わっていく、よくなっていく一つの方向だと思います。
イギリスのOFSTED、あの基準局のやり方というのは非常に厳しいものがございます。日本にそれがなじむかどうかという話もありますけれども、まさに査察官が学校を閉鎖する力を持ちながら教育レベルをきちっと見ていく、そこまでイギリスはやって教育再生を図ったという事実もあるわけでございます。
そんなことを考えながら、これから教育再生をやっていく。それは、先ほど申し上げました教育基本法の改正案、これによって私はかなりのウエートが入ってくるであろう、こう思います。
そこで、改正教育基本法において、その第十一条に新たに「幼児期の教育」ということがきちっと入りました。条文には、幼児期の教育は生涯にわたる人間形成の基礎を培う重要なものである、そのことをきちっとうたっておるわけでありますが、今、しかし、実際に起きている痛ましい事件を見ますと、親がしっかり責任を持って子供を育てているのかということがございます。
安倍総理は、高い学力とともに規範意識も植えつけたい、持ってもらいたい、こう言っておられますけれども、そもそも親そのものの規範意識が非常に弱いということがあります。これは幼児教育だけじゃない、小中もそうでありまして、最近話題になりました、学校給食費を払わない親が出てきた。百人に一件といいますか、百人に一人はそうだというような、こういう記録。そして、二十二億、給食費の未納があると。学校ではてんやわんや、校長先生たちがそれを補っている学校もあるそうでありますが、そのうちの六割は、家庭の貧困とかそういうことじゃなくて、わかっていて払わないんだと。この規範意識ですね、ここから直していかなきゃいけないという問題に実は遭遇をしているということは、非常に残念ではありますが事実であります。
現実に国際比較等を見ましても、どうも日本の青少年は、生活規律、いわゆる生活でのルール、こういうことを親から厳しく言われてないという点が指摘をされております。また、親が子育てに非常に孤立をしている、相談相手がない、父親は子育てに参加をしない、こういう問題が明らかになってきておるわけでございまして、これは、働き方、ワーク・ライフ・バランスの問題を総理は言っておられますが、こういう問題とすべて連係をしておるわけであります。だからこそ社会総がかりで教育再生をということになるであろう、こういうふうに思うわけでございます。
家庭教育の段階で、特にこの幼児教育とあわせて、同時に家庭教育の重要性も今回の教育基本法ではうたわれておるわけでございまして、保護者がこの教育については第一義的に責任を持つんだ、こういうことがきちっとうたわれておるということ。これも、これまで言われ続けてきたことが教育の中心になかったということであります。これまで、どっちかというと、教育を直接担当する教育現場は家庭のことまで口出すべきではないんだということがあった。しかし、これが一体でありませんと、教育はうまくいかないということが明らかになってきております。
百升計算を進めておられます、再生会議のメンバーの一人であります陰山英男先生もそのことを言っておられまして、まさに学力をつけるには、まずその段階の生活改善が必要だ、それこそ「早寝早起き朝ごはん」、これがきちっと励行されているかどうかが学力に大きく影響するんだということを明確に言っておられまして、事実、その取り組みをされております。
私の地元の山陽小野田市では、新しい学習システムということで、これを正面から取り上げて、文部科学省のプログラムでありますが、これを今実際に取り組んで、基礎、基本をしっかりやらせる、そして、まさに読み書きそろばんじゃありませんが、音読で、声を発してやる、そして計算をやる、そのことが脳科学的に見ても子供の学力をつける基礎であると。子供が生き生きとしてきた、子供が生き生きとしてくると親も非常に前向きに取り組むようになってきた、私が今やっているここは次の学力調査ではいい結果が出ると思う、だからこれを全国にひとつ広めていただきたい、そういうふうに言っておられましたが、まさに今現場ではそういういろいろな取り組みが行われております。
その前提として、親の教育はどうなんだということが盛んに言われておるわけでございますが、これは、文部科学省が親学問をつくるということになるのかどうか、私もPTAの皆さんと話しますと、実はそこに行き着くんですね。PTA活動で熱心な親たちはいいんです、しかし、ここに来ない親をどうするんですか、これも文部科学省の責任なのか、何か考えてもらわなきゃこれはとてもやっていけません、こういう現場があるということ。これについて、文部科学大臣、どういうふうにお考えでしょうか。

伊吹国務大臣

今般改正をいたしました教育基本法には、保護者が一義的に子供の教育に責任を持つということを明記いたしておりますし、先生がおっしゃったように、幼児期の教育という条項も起こしております。
したがって、御指摘のように、これは率直に言うと、目先、文部科学省だけでやれることではありませんが、この教育基本法の改正をされた理念に基づいて学校教育法を直し、指導要領を直していき、それによって教えられた人が親になり、またその親がおじいさん、おばあさんになりということを積み重ねていく必要がやはりあると思います。
しかし同時に、目先の議論としては、社会教育の一環として学び直しの機会あるいは子育て教室その他をやりながら、大きな歴史の中で日本人の考え方が変わっていくまでの間、少しずつ少しずつ支えていくより仕方のないことだろうと思いますので、教育はやはり国家百年の計ということを肝に銘じて、積み重ねを誠実に行っていきたいと思います。

河村(建)委員

ぜひ、教育界においてもこうした取り組みをしっかりやっていただきたい。まさに、幼稚園、保育所、これは親もともに学び育つところでなければならぬ、こう思っておりますので、そうした機能を保育所、幼稚園にもしっかり持っていただくということが必要であろう、このように思っておるわけであります。
先ほど「早寝早起き朝ごはん」のことを申し上げましたが、やはり食事のことというのは非常に大事でございます。私、小泉総理から文部科学大臣を命ぜられたときに、その指示の最初に書いてあったのは、知徳体、知育、徳育、体育プラス食育を重視した人間力向上の教育改革に努められたし、こう書いてあったわけでございます。そのとき、公に、かねてから言われておったのでありますが、食育ということがきちっと出てきた。今、学校現場も、学校給食を通じてこの問題にまさに取り組んでいただいております。
この食育という考え方は一石三鳥でありまして、食べることの重要さ、これを知識として知っていく、そのことは学校給食を通してやりながら、栄養の問題等もやってまいります。そして同時に、一緒に、愉快に楽しく食べる親子団らんの時間を持て、こういう教育になっていく。と同時に、これは健康でありますから、生活習慣病の防止にもつながっていく。これはまさに厚生労働省の医療費の問題とも絡んでくるというような問題。一方、農林水産側から見れば、地産地消の問題だ、ふるさとのものをしっかりここで子供たちに、そして御飯のおいしさをしっかり学んでもらいたいという面がある。
こうした食育でございますので、これをまさに社会総がかりで進めてもらいたいと思っておりますが、一言、学校現場においては、私も、学校給食を直接担当しておられます学校栄養士の皆さん、これを学校栄養教諭として現場でしっかりやってもらおうということで、栄養教諭の免許を取れるようにいたしました。これはまだ義務化をしていないということもあって各県まちまちでございまして、これの取り組みが遅い県もたくさんある。これはぜひ、一万人からおられる学校栄養士の皆さんが早急に栄養教諭の免許が取れるような促進方をお願いしたいと思っておりますが、文部科学大臣、いかがでしょうか。

伊吹国務大臣

食育は、先生がおっしゃったような多くのプラスの面を持っておりますし、特に、さらにつけ加えて言えば、自分で命を育てて、その命をいただきながら自分が生きていくんだということをやはり児童生徒に理解させるという意味合いも私はあると思います。
そういうものを、いかに料理をして、バランスのとれた食事として人間が生きていけるのかということを教えてくれるのが今先生がおっしゃった栄養教諭だと思いますので、現在、必置義務はございませんが、予算で少しずつ少しずつ、御承知のように設置を助成しておりますから、いずれ先生がおっしゃった方向に行けるように万全を尽くしてやらせていただきます。

河村(建)委員

ぜひ、栄養教諭の配置について御努力をいただきたい、こういうふうに思います。
命をいただくという非常に大事なお話もされました。まさに学校教育においてもそういうことをきちっと教えていく。今回、宗教教育のところにつきましても、宗教の一般的教育といいますか、これをきちっとやるようにということになっておるわけでございます。かつて学校給食現場で、我々日本人は御飯を目の前にして自動的に手を合わせますが、これは仏教なんではないかというような指摘があって、教育現場に宗教がというような行き過ぎた話も残っておりますけれども、今はそんなことはないと思いますけれども、そういう大事な宗教観というものを同時に養ってもらわなきゃいかぬ、このように思うわけでございます。
先ほど、総理みずから子ども放課後プランのお話もされました。これは要請にとどめておきますが、これまで厚生労働省が中心にやってきておりました学童保育、これも非常に効果を上げてきたわけでありますが、それは低学年であります。文部科学省は高学年の子供の居場所づくりというものをもって、これと一体でやってきたのでありますが、これを今度一つにして放課後プランということであります。
特に子供の居場所づくりを担ってきたのは、各地域のNPOであります。一般の方々が随分入ってきております。これを直接文部科学省は補助していたのでありますが、今度一体で、市町村を通じてやることになります。これは行政がもろに入ってまいりますと、NPOが排除されるということがあってはならない、こう思っておりますので、これについてはぜひ十分な配慮をいただいて、このNPO法人は相当な実績を持っておりますから、これを大いに活用していただいて、この大事な放課後子どもプラン、子供の居場所をしっかりつくっていただくということが大事でございますので、その点をお願い申し上げておきます。
もう一つ、教育委員会制度の問題でございます。
これにもかなり高い関心がございますが、先般、新聞にも、教育再生会議が、文科相に教委の是正権限、勧告や指示を盛るというような話も出ておりますが、教育委員会の問題は、教育委員会そのものが形骸化しているのではないか。いじめの問題についても、適切な指示ができていない。特に北海道教組ですか、この調査にも協力できないような、教育委員会は一体どういう指示をしたのか、これは今問題になっておるところでございますし、また、未履修の問題についても、これについて的確な指示ができていなかったのではないかということで、教育委員会そのものの存在については、これを廃止して、首長に権限を渡したらどうか。
実は、教育基本法改正の問題では、民主党案はそういうふうになっておったと思いますが、しかし、これは否決をされたわけでありますから、やはり教育委員会の存在価値というのは、教育の中立性をきちっと担保する……(発言する者あり)ごめんなさい、否決をされたわけでありますから……(発言する者あり)廃案、まあ、廃案といいますか。ということで、改めて否決の形はとっておりませんが、廃案になったということであります。
私は、やはり教育委員会の存在というのは、教育の中立性を守る、その意義というのはあると思いますね。しかし、これをきちっとしたものにしていくということが必要であろう、私はこう思っておりますので、これから根本的に洗い直すということでありますが、この問題について文科大臣はどのような方向で進めておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。

伊吹国務大臣

教育基本法の民主党が出していただいた案については、参議院ではこれを否決したわけです。しかし、中に立派なこともたくさん書いてあるということは、国会の議論はそのためにあるわけですから、十分それを受けとめて、教育委員会の問題も考えたいと私は思っております。
そこで、基本的にはやはり、当事者能力を最大限に引き出すためには、地方でできることは地方という分権の流れはとめるべきではないと私は思っております。その上で、先生がおっしゃったように、国が全国統一にお願いをしたことを各地域が法律を守ってくださらないという場合に、最後に、抜いてはいけないけれども、どうしても守らなければならないものを守るようにしていただく権限ということだけはお与えいただかないとできないんですね。
ちょうど、自由競争社会で、資本主義社会ですから、政府は基本的に取引に介入してはならないんですよ。しかし、アンフェアな、あるいは法律に違反したことが行われる場合には、公正取引委員会というものが厳然として存在するわけです。
したがって、うまくやった地域とそうじゃない地域、うまくやった教育委員会とずるをせずに誠実にやった地域というものが混在している教育界というのは、私はやはりよくないと思います。これは私の考えです。今、これはしかし、再生会議の意見も総理が御判断になって、そのことも念頭に置きながら中教審で議論していただきたいということをお願いしているわけですから、その議論を私が先取りするということは不適当でございますので、スピード感を持ってやっていただく中教審の答申を待ちたいと思っております。

河村(建)委員

ありがとうございました。
時間も押してまいりましたので、最後に、総理に一言、確認といいますか、決意をお聞きしたいと思いますが、先ほど、これからの日本の教育再生を図る場合には、教育に対する公財政支出をどう考えるかという視点もどうしても必要だろうと思います。財政当局はこうした財政支出の縛りというのを非常に嫌うのでありますが、しかし、第三期科学技術基本計画では一つの数字がきちっと出ておるわけでございます。
この問題についても国民の関心が高まっておりまして、あなた質問するなら、総理に、教育に金をかけてください、こういうことをしっかり言ってくれ、こういう話も来ておるわけでございますが、教育再生を、内閣の最重要課題ということであれば、まさに教育振興基本計画の中で織り込んでいかなきゃならぬと思いますが、ぜひ、総理の決意を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣

私は、総裁選挙のときから申し上げておりますように、教育改革、教育の再生は最重要課題である、このように申し上げてまいりました。
その考え方のもとに、教育基本法を昨年の臨時国会で改正したわけでありますが、そして、社会総がかりで教育の基本にまでさかのぼって改革を徹底していく、そして教育新時代を開いていきたい、このように決意をしているわけであります。
六十年ぶりに改正された教育基本法で明確にされた新たな教育の目的や理念に基づいて、教育振興基本計画を早期に策定してまいります。その際には、政府として、教育投資の充実に関する考え方など、中教審の答申を踏まえまして、何を充実し何を効率化するかなどの中身についての吟味をしっかりと行いながら、教育改革が実効あるものとなるよう計画の策定に取り組んでまいります。
なお、教育再生を推進していくためには教育予算の内容の充実が重要である、このように私も認識をしております。そのもとに、十九年度予算案においては、教育再生を推進する施策について重点化を図るなど、めり張りをつけた真に必要な教育予算の充実に努めているわけでありますが、今後ともこの考え方に基づいて進めてまいりたいと思います。

河村(建)委員

ありがとうございました。教育現場、大いに元気が出るお話だと思っております。
あと残りの時間で、最後の質問になりますが、宇宙開発の問題について、ぜひお伺いしておきたいことがございます。
総理は、このたびの施政方針演説で、宇宙分野、さらに海洋分野も含めて所信をお述べになった。特に将来的な可能性を言及されたということ、アメリカ、中国等も、国家戦略として、国家元首、大統領みずから中心になってこの問題に取り組んでおりますが、日本の総理大臣がこの宇宙開発、宇宙の問題、方向性をきちっと出されたということは画期的なことだ、初めてのことだ、こう思って、評価いたします。
日本の宇宙開発の技術は、御案内のように、あの小惑星イトカワ、これは大宇宙から見ればほんの点の、米粒のような、そこへ「はやぶさ」を軟着陸させる、こういう技術を持っておるわけでございます。これは、限られた宇宙予算、これもこれから伸ばしていかなきゃいけない分野だと思いますが、国際的にも高い評価がございます。
宇宙の実利用の面といいますか、これに目を向けてみますと、これもややもすると、自主的な技術といいますか自主技術の獲得、これを集中的にやってきましたが、どうしても技術開発の比重が大きくなって、必ずしも利用分野に十分これが進んでいないという嫌いがあるわけであります。
「第三の波」著作、有名な未来学者のアルビン・トフラー氏は、新著「富の未来」、この中で、イノベーションが進むことによって二十一世紀の富は宇宙からつくり出される、このような指摘をいたしております。宇宙は、その極限的な環境から最先端の技術が結集して取り組まれる分野でございまして、これもイノベーションの源泉となる大きなポテンシャルを秘めている、こういうことが言えると思います。
このような観点に立ちまして、現在、自民党と公明党とで、宇宙基本法案といいますか、まだ仮称でございますが、これを検討いたしております。与党の合意ができ次第、国会に出させていただく。その間、民主党との合議もさせていただきたいと思っておるところでございます。
この法案は、従来の研究開発を中心としてきた我が国の宇宙政策というものを、国家的な戦略として宇宙政策を展開していきたいということで、産業振興、外交、安全保障、そして研究開発、この三本柱で政策を展開したいと思っております。そして、国家戦略として取り組んでいくということですから、省庁横断的な宇宙政策の企画立案、総合調整を図るということが大事でございます。政策の意思決定を一元化して、内閣に総理大臣を本部長とする宇宙戦略本部を創設したい、同時に宇宙担当の大臣も置く、こういう方向が大きなねらいになっております。
宇宙の平和利用につきましては、昭和四十四年、これは佐藤内閣のときでありますが、国会決議がございまして、平和目的ということが、限定をする、こういう国会決議がございます。
平和目的ということは非軍事ということになっておるわけでありまして、政府はこれまで、宇宙の平和利用として、非軍事の枠内でこれを取り組んできたわけであります。しかし、欧米、ロシア、諸外国、これと異なる解釈をとって、宇宙条約等によれば、偵察衛星のような直接的な攻撃力、殺傷力とならないこうした防衛目的の軍事衛星は平和目的に入り得るんだということで、実際に打ち上げをやり、運用をいたしておるところでございます。
昨今の世界情勢、技術力の進展を踏まえますと、独自の情報収集能力を高めることが我が国のこれからの存立を確固たるものにしていくと考えます。私は、我が国としても、平和目的の考え方、これは国際標準に則したものに変えていく必要があろう、こう思っております。
総理としても、我が国が国家的な戦略としての宇宙政策といいますか、この位置づけ、これを国を挙げて取り組む必要性についてどのようにお考えか、また、平和的目的の解釈をそういう意味で世界のスタンダードに合わせていくという認識をお持ちいただけるであろうかということをお伺いしておきたいと思います。
と同時に、最近、中国の衛星の破壊実験がございました。宇宙にごみが散乱するという問題、それだけではなくて、これが宇宙の軍拡につながっていくという懸念がございます。これは政府としても既に懸念を表明されておりますが、意図的に衛星を破壊するような行為を禁止する国際的な枠組みを構築する、こういうことに我が国も積極的にかかわる必要があろうと思いますが、あわせて総理のお考えを伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣

宇宙開発といえば、一九六〇年にケネディ大統領が人間を月に送るという計画を発表したわけでありますが、その段階ではまだ科学技術的にいろいろな困難な問題もあったわけであります。しかし、結果としてそれは成功したわけでありますが、いかに人間には可能性があるか、そして宇宙には可能性があるかということを示した例ではないか、こう思っております。
私も、施政方針演説におきまして、宇宙に関する分野は二十一世紀の日本の発展にとって極めて大きな可能性を秘めていることを申し上げました。政府としては、先端的な研究開発、宇宙産業の競争力強化とともに、総合的な安全保障を含めた幅広い宇宙利用の推進を図ることが重要であると考えておりまして、関係省庁が一丸となって戦略的に施策を推進してまいりたい、こう考えております。
また、先ほど先生が御指摘になった昭和四十四年の国会決議における「平和の目的に限り、」という文言については、この解釈をめぐって議論があるのは事実であります。
確かに、御指摘のように、情報の収集、その分析というのは、我が国の平和と安全を確保するためにも極めて重要でありますが、宇宙に関する現在の施策は御指摘の国会決議の趣旨を尊重して行われているところでございまして、この決議の解釈を見直すか否かについては、まず国会において御議論をいただきたい、このように認識をしております。
なお、現在、与党におきまして河村先生を中心に宇宙基本法に関する議論、検討がなされておりまして、政府としても関心を持ってこの議論を見守っていきたいと思っております。


河村(建)委員

ありがとうございました。
もう時間が来たようでございます。安倍総理は、私と同郷でございますし、一度選挙戦をともに戦った間柄でもございますが、教育再生を最大の国家課題といいますか内閣課題にしておられます。私もしっかり御支援を申し上げたいし、成果をしっかり上げてもらいたい。山口県民はもとよりでありますが、国民注視、監視、そして期待をいたしております。どうぞ頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。




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