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活動報告

「教育基本法の改正について」

自民党文教制度調査会長
河村 建夫

教育基本法案の解説

そのようなことを含めて今度は18条になっておるわけでございます。とくに強調をしなければならないことは、教育基本法の前文です。教育基本法で前文があるというのは非常に少ないのでございますが、憲法からきているということを受けて前文があります。これはこのたびの法案にも残そうということになって、前文からスタートいたしました。第一条はいままで通りのところであります。第二条でいままで申し上げたようなことを謳い込もうということになりました。現行法では「教育の方針」というのが短くあるわけですが、この中にまず5点ほどはっきり挙げております。

教育全体のことについては一項として、幅広い知識と教養を身につける、豊かな情操と道徳心を養うというこれまでなかったことをはっきりやろうとしました。

二番目は、個人自身の問題であって、能力を伸ばす、個人の価値を尊重する、創造性を培う、自主自立の精神を養う、あるいは職業教育のこともこの中に謳ってあります。

第三点として、旧法にはいわゆる男女共同、男女同権がわざわざ書いてあったのですが、現在、男子と女子が一緒に教育を受けるのは当たり前ですからこれはやめて男女の平等だけ入れようということになりました。個人の尊厳をあまりにも強く謳いすぎたため個人主義に走っており、公のためという精神がどこにもないのが問題だということになりまして、公共の精神に基づきということをしっかり入れようということになりました。

四番目に、自然と環境問題を入れようということになりました。とくに生命を尊ぶことです。いま、毎日のように親が子を殺し、あるいは子供同士の傷つけあいがあります。私も大臣をやっているときに長崎で小学校6年の女の子同士が殺人を起こすという事件が起きて悲しい思いをいたしました。このようなことが現実に起きています。もっと教育の中で命の尊さについてやらなければいけません。そして、自然を大事にする環境の保全です。

T's PARK写真 五番目、ここで我々は苦労いたしました。「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」と謳いました。ここで本来、愛国心と書くべきではないかという議論がずいぶんございました。実は、公明党側からもここでいろいろ議論があったのでございます。とくに愛国心の「国」の中に、統治機構が入るのか入らないのかということです。公明党の存立には、国家神道の問題などもあって迫害を受けた歴史があります。内閣をはじめとして統治機構が入るのか入らないのか、公明党に配慮しなければいけないだろうということでございます。そこで、統治機構を意味しない、伝統と文化を創ってきた我が国という言葉にしました。郷土を愛するとともに、同時に国際社会でありますから他国を尊重するそのことも必要であろうということです。これも党内では、いま問題の北朝鮮、こういう国も尊重しなければいけないのかという議論もありました。統治機構を尊重するということではないのです。統治機構を尊重するという意味ではなく、他国の尊重も必要であろうということでございます。いずれにしても、国際社会の中で、日本が世界から信頼される国づくりをするという現行憲法の精神を引き継いでいかなければいけないということでございます。 ただ、歴代の文部大臣経験者から、なぜそこのところをきちっとしなかったかというご指摘をいただきました。私は127代の文科大臣でございます。1885年に内閣制度ができまして、森有礼大臣から127代になるわけです。ただ、教育現場、学習指導要領にはそのことがきちっと明記してあります。小学校3年から愛国心をやしなうということがずっと書いてあります。教育現場ではそれをやることになっています。しかし、これを裏付ける法律がいままでなかったということであります。国旗国歌法も同じでした。学校の現場では、日の丸を掲げ、君が代を歌って式典をやりなさいと書いてありますが、これに反対する先生方がいてできませんでした。最終的にこれが問題になって、広島県立世羅高校の先生が板ばさみとなって自殺されました。学習指導要領は法律ではない、法治国家は法律でないものはやらなければいけないということはないという反対論があったのです。あのとき我々は目が覚めた思いで、それならば法律を作ろうということになって、いまから7年前に国会で国旗国歌法を作りました。今回、教育基本法ができることにより、いまの道徳心の問題も含めて教育現場においてこのことが担保されることになるわけでございます。

いままで強調させていただいたこと以外に、新たに生涯学習がまさに最近言われるようになりました。昭和22年に現行の教育基本法ができたときには生涯学習という概念がありませんでした。いまでは生涯学習は、非常に大事な概念であります。それも謳わなければなりません。それから障害者に対する配慮も、教育基本法の平等な教育の中で謳うべきだということで、新たに第4条の2項に入れたわけでございます。

さらに、義務教育についてです。現在、義務教育は9年の6・3制でございます。これは教育基本法の中に普通教育としてありました。改めて義務教育ということを謳って、別の法律で定めようということになりました。これからは、義務教育は本当に9年でいいかどうかという議論もしなければなりません。幼児教育をもっと重要視して、5歳くらいから義務教育にしろという声もあります。世界の中では9年が一般的でありますが、義務教育を10年以上やる国もありますので、年次は別の法律でやるということにいたしました。

それから、6条の学校教育でございます。これまで学校の規律の乱れがありましたから、学校の現場においても規律はいるのだということを謳おうということになりました。

これまで教育基本法は、義務教育に力が入っていました。しかし、大学教育も必要だろうということで、第7条には大学が入っております。いままでの教育基本法には私学について何も書いてなかったのでありますが、日本の教育の中で重要な地位を占める私立学校についてもしっかり謳うということになっております。

教員について、その職責は現行法にあります。さらに研修と修養に励めということが書いてあります。今度あらたに教員の免許の更新制を行う方針が出たところでございます。これも新しい教育基本法の中でそのような方向を打ち出すということになります。

家庭教育についても、これまでございませんでした。いかに家庭教育が大事であるかということは、今日の現状を見たときに家庭の教育力の低下が学校現場でいろいろな弊害を起こしていることからも事実でございます。第10条では、「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有する」としました。「生活のために必要な習慣を身に付けさせる」、「自立心」を育てる、「心身の調和のとれた発達を図るよう」に家庭がやりなさいということを教育の基本法の中に謳うということにしたわけでございます。

T's PARK写真 幼児期の教育、これもいままでなかったのですが謳うことになりました。これから幼児教育は無償化の方向を目指していかなければならないということになりました。我々自民党は先の総選挙でこれを公約として戦った経緯がございます。新しい骨太の方針の中にも入れました。これから無償化を目指すという方向で、幼児期の教育の重要性を第11条で謳いました。

さらに、学校もさることながら、家庭と地域住民の連携が教育に非常に必要だということです。学校、家庭、地域住民の連携を高めるということを13条で新たに盛り込みました。

それから、宗教教育のところでございます。宗教団体等々からも、宗教的な教養がなければ道徳教育ができないではないかと言われています。昔、新渡戸稲造先生が、「日本は宗教教育をやらないで何で教育を行っているのか」と言われたときにはたと困って、「日本には武士道があるのだ。武士道で教育を行っているのだ」と言われたと「武士道」に書いてあります。このたび、15条で「宗教的情操の涵養」はどうかという議論がありました。「宗教的情操の涵養」というのは非常に意味が多義的であります。どのように教育をするかといったとき、どうしても宗教の教義に入っていかなければならない部分があるのではないでしょうか。信仰の自由に反し、特定の宗教に踏み込む可能性があるという専門家の指摘がございます。世界の情勢を見ましても、宗教に関する一般的な教養として学校現場はきちっとやるべきだということになりました。そこで、15条では宗教に関する一般的な教養を教育上尊重するということになった次第でございます。もちろん、国、公立の学校では特定の宗教はやっていかないというのは当然のことです。これまでこれがあまりにも働きすぎて、教育現場がまったく宗教教育ができませんでした。最近では笑い話のように言われますが、学校給食において、いただきますと手を合わせた生徒に宗教行為だから止めなさいと言って止めさせる現場が本当にあったと聞いております。これでは宗教教育の考え方は行き過ぎております。教育現場が誤った過大な解釈を止めて、本来の宗教教育ができるようにやっていこうとしております。

教育行政で、「不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである」というのが、これまでの教育基本法でした。日教組はこれを武器にしました。文部科学省や県、市町村がいろいろな指導をすると、不当な支配であると撥ねつけます。あるいは、教員組合や教職員会議が、国民全体に責任を持っていると主張します。これはやはりおかしいわけでございます。「不当な支配に服することなく」は、教育の中立性を守るために必要です。教育行政は、教育基本法や学校教育法等の法律に基づいてしっかりやるのだということで、今回、「国民全体に対し直接に責任をおつて行われる」ということを外しました。法律に基づいてやるということによって、教育の中立性を守りながら教育行政をやろうということにいたしました。これから学校現場においては、校長先生がしっかりリーダーシップを発揮できるようにこの法律によって担保するということが謳われています。


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